カメの賢人について

以前別の記事でPS1ソフト『聖剣伝説LOM』のことに触れた。その中でもう一つ、僕の在り方に影響を及ぼした形姿のことについて。

 

LOMの世界には七賢人と呼ばれる存在がいる。街道の外れに聳える大岩だったり、ジャングルの奥深くに住む獣王だったりだ。彼らが世界の来し方を見つめ、折に触れて助言をくれるのだが、そのなかにカメの賢人(賢カメ?)がいる。

 

どう見てもウミガメなのになぜか湖に住んでいて、長くふさふさな眉毛をしていて、ソクラテスや孔子を彷彿とさせるような賢人然とした見た目だが、喋り方や物腰はとっても慇懃なカメだ。作中の人物事典におけるこのカメについての説明書きが僕はたいへん好きだった。

 

 

それによれば、苦悩する人々は彼(彼女?)のもとを訪れて自分の悩みを吐露するのだが、カメは特に道を示すわけでも説教をするわけでもなく、ただ静かに話を聞き続ける。起きているのか寝ているのかすらもよくわからない(カメだからね)。

 

でもそうして何時間も何日もカメに向かって語り続けるうちに、悩める者は自分で道を見出し、カメに礼を言って去っていくのだ。

 

もちろんこれはやや性善説に傾きすぎているきらいがある。はっきり言って、人が「悩み」と呼ぶもののなかにはしょーもないものも沢山あると思うし、悩んでいる自分に酔う人だって沢山いる。そういう悩みに対しては「しょーもない!」とはっきり言ってやるべきだと僕は思う(まあその程度の苦悩ならば、わざわざ森深い湖にまでカメを訪ねていったりしないだろうが)。

 

それでも。真摯で深い苦悩に身を浸した者を前にしたとき。聞き手が同じように苦しみに身を沈めても、苦悩する者が二人になるだけで救いにはならない。じっと静かに耳を傾けながらも、話し手の苦しみや悲しみからは距離を取っていられること。そういうモノでありたいと、僕は思ったのだった。

 

自分で言うのもなんだが、僕は人の話を聞くのが上手い方だとおもう。その根底には、あのカメの賢人のように在りたいと昔思った経験があるのだった。

2件のコメント

  1. 人は自分の中に答えを持ってるものなんだよ。
    それを深く理解して人と対峙すると自らの在り方も変わるし、そこから自らが得ることが大事だったりするんだ。

    1. 人が自分の行ないを決める上では、「知識」と「意志」の二つが土台になると思うのです。
      「知識」に関してはどれだけ世界から学べるかが重要だけれど、「意志」は自分にしか決められない。
      思ひて学ばざれば何とやら、ですね。

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